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角膜移植って?

角膜は目の一番前にある無色透明の5層からなる膜です。角膜には目に光を取り入れる窓のような役割や、水晶体と共にピントを合わせるという大切な役割があります。この膜が下の写真のような病気や外傷などにより濁ってしまったり、円錐角膜のように突出してしまうと見えにくくなります。このような場合に角膜移植が行われます。

当院では、年間約30例の角膜移植手術を行っています

角膜移植手術の適応と手術方法

全層角膜移植手術(PKP)

角膜全部を切除し、提供された角膜と置き換える方法です。水疱性角膜症、角膜内皮変性症や角膜混濁の程度が強く、角膜全部の層にわたっている場合(角膜実質炎、角膜瘢痕)などが適応疾患です。当院では昭和59年から施行しています。

表層角膜移植手術(LKP)と深層角膜移植手術(DLKP)

表層角膜移植手術

角膜上皮と角膜実質のみを切除し、角膜内皮は自分のものを残し、そこに提供角膜を移植する方法です。
角膜の濁りが角膜実質の浅い層にとどまる場合に適応となります。
全部の層にわたらない角膜実質混濁(角膜実質炎、角膜瘢痕)、角膜穿孔など角膜最下層の内皮細胞の機能が保たれている場合に適応となります。

深層角膜移植手術

内皮細胞の機能が温存されているが、角膜の濁りが全層に及んでいる場合が適応となります。角膜実質の混濁(角膜実質炎、角膜瘢痕)、角膜ヘルペスなどの角膜感染症後の角膜混濁、角膜変性症の疾患が適応となります。

角膜上皮形成術(KEP)・輪部移植術

角膜上皮を移植することで上皮の再生を促す方法です。角膜輪部が障害を受けると角膜上皮細胞が増殖できなくなり、上皮が欠けてなくなってしまったり、周りの結膜(白目)が角膜に入り込んでしまうことがあります。

主には角膜輪部不全を来すトラコーマ後の角膜瘢痕、化学外傷(目に洗剤などが入る)、スティーブンス・ジョンソン症候群などが適応となります。表層・全層角膜移植と組み合わせて行われることも多くあります。

角膜内皮移植術(DSAEK)

特殊な器具(人工前房とマイクロケラトーム)を使って角膜内皮だけの薄い角膜片(厚さ150~200μm)を作成し、これを角膜の内側に空気で押さえて貼り付けて角膜内皮だけを移植する新しい手術方法です。この方法では全層角膜移植で避けることのできなかった術後の強い角膜乱視を防止できるとされています。術後早期に視力が回復するとされています。角膜内皮移植術は新しい術式で、当院では平成20年1月から施行しています。

羊膜移植術(AMT)

特にアルカリ外傷などの時は、結膜も瘢痕化して、まぶたが開かないときがあります。この場合は、癒着した結膜を切除して羊膜という妊婦の子宮から採取した膜を使って再癒着を防ぎ、結膜嚢を再建する方法が用いられます。他に眼表面の疾患が難治で痛みがひどく、しかも継続するときに羊膜で眼表面をカバーして疼痛軽減をはかることもあります。羊膜移植術は斜視手術の時にも用いられることがあります。

角膜移植手術の適応疾患


顆粒状角膜変性症


円錐角膜


再発性翼状片

角膜移植手術についてのQ&A

Q1 麻酔方法は?open
局所麻酔(目だけ痛みを感じないようにする方法)と全身麻酔の2種類があり、主には全身麻酔で行っています。
Q2.円錐角膜について教えてください open
角膜が円錐状に突出してくるため、眼鏡ではよい矯正視力を得られません。視力を出すために、ハードコンタクトレンズを長期使用しなければならなかったり、病気が進行すると角膜に障害をきたすこともあります。当院では、円錐角膜の患者様に全層角膜移植または深層角膜移植を行っています。
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